2015年10月20日火曜日

IRONMAN WORLD CHAMPIONSHIP レースレポート~4年目のコナ

トライスロン4年目のコナ、今回は一つの覚悟、決意をもって臨んだ。
4年という月日はオリンピックの開催間隔でもあり、始めた一年目の自分からどれだけ良いトライアスロンが出来るようになったのか、もし良くなった実感をレース後に感じられなければ、もうここにレースをしにきても自分には相応しくないのではないか?4年もやって取り組みの成果がないならばやめてしまえ!と、コナを目指すかどうか、来年以降の取り組みを決めるレースでもあった。

そう考えたのはあまりにも昨年はレースが出来ていない感が強く、満足感よりも失望感が高くて、なんのためにコナに行くのだろうか、と自問自答していたからだ。

さて4年間を節目として、ひとつここまでを振り返ってみたい。


2012年 1年目
コンデションは暑いものの少し曇りで、コナウインドもアベレージ

スイム1:27は、ロングでの初ウエットなしなので、フィニッシュできればOK!
バイク4:58は、同じくコナウインドのなかで5時間切りを目標としていたのでOK!
ラン3:49は、暑さの中での初アイアンマンだったので後半ペース落ちたもののの粘れたのでOK!
フィニッシュ10:24、エイジ92位は、はじめてのコナで気持よくフィニッシュ出来ただけで満足!!


2013年 2年目
コンデションは暑いもののやや湿気少なめ、コナウインドは吹き荒れず

スイム1:17は、波も流れもなくプールのようで気持ちよく泳げて、上出来!
バイク5:17は、トランジット直後に接触転倒で前輪破損、交換出来るまで歩き、代わりのホイールの走行でなんとか走り切ったので、上出来!
ラン3:53は、落車で打撲した臀部と大腿をかばいつつ、痛みと戦いながら走り切ったので上出来!
フィニッシュ10:17、エイジ183位はパーソナルベスト/PBが狙えるコンデションなだけに落車が惜しまれるが、アクシデントに負けずフィニッシュしたので上出来!!


2014年 3年目
コンデションは暑いもののやや曇りがち、コナウインドは大荒れ!!!

スイム1:24は、流れが強く蛇行しがちで、波も強く呼吸の度に水が口鼻から入り遅れた感じで、イマイチ。
バイク5:08は、往路は波酔い、海水を多く飲んだことで補給を受け付けずペース上がらず、後半持ち直したものの最強レベルのコナウインドでスピードは上がらず。
ラン3:45は、この年の他のイベント等で詰め込みすぎ、疲労感が強く重い走りでただ走り切っただけ。
フィニッシュ10:25、エイジ68位、初年度と同じタイム、伸びない結果に、取り組みを再考することに。
世界最高峰のアスリート達が集まる最高の舞台に、ただ観光気分で来ることは自分には違和感が強く、このままではダメだと、今年はキチンとこのレースでパフォーマンスを発揮できる取り組みをする決意をした。



2015年 4年目
コンデションは蒸し暑く雲もないものの、コナウインドはアベレージ


さて今年のコナ、結論から言うと、満足!!

フィニッシュタイムは10:03とサブ10ならずで惜しい思いもあるものの、トレーニングの成果を発揮し現状ベストは尽くせたしエイジランクは23位と、絶対的にも相対的にも4年間の進歩が確認できたので、満足!!


コナに向けた取り組みとして昨年の決意はしたものの、とはいえ、生活をガラリと変えてトレーニングとレースに打ち込むというわけにはもちろんいかず、新設した株式会社エンデュアライフを軌道に乗せるべく、日々奮闘する中で、自分に掲げたモットーは、「急がない、詰め込まない、間を大切に!」というもの。

時間はなくとも焦らず、一つ一つ、一回一回を正確に、丁寧にやるという意味を込めて。

前日までの過ごし方もリラックスとリカバリーを再重視、バイクチェックインの時には、早くレースがしたい!と前向きな気持でS-WORKS SHIVを預けることが出来た。


そのSHIVは、2016モデルにアップデート。基本的にフレームカラーチェンジのパーツは載せ替えなものの、走りの肝であるホイールを最新の ROVAL CLX64 となっていて、この空力性能を活かしたバイクパートの走りを今回のアドバンテージとして据えていた。

CLX64は激幅広でいるものの、見た目はおとなしくて、ごくごく普通のホイールのようだが、走りだすとその抵抗の少ないスムーズさ、癖のない扱いやすさ、そしてなんといっても、高速巡航キープの楽さが際立つ!!

40kmで走っているときに、ペダリングパワー、脚の力を抜いて空回り気味にしても、速度の落ち込みが極めて少なく、脚の緊張、体力負担を低減できるというメリットが大きく、今回はバイクでの平均パワーは少なくして、つまりランのために脚を残しても、4時間50分はいけるだろうと踏んでいた。



スイムは1:18、これはとてもよい感触で泳げて満足!
トレーニングは一進一退が続いていたものの、直前に肩まわりの脱力と体の進ませ方にとても良い気付きがあり、それを実践するべく、コナでのコース試泳と宿、コンドミニアムのプールでのドリルでリズムで覚えられて、それを上手く出来た。
往路で流された感、復路は波もあったものの周りの選手との相対的な位置は大幅に遅れることなく終始集団の中にとどまれた。
波酔い、海水飲水などダメージもなく、これは早くスイムアップ出来たか、と思ったが、1:18、しかしトランジッションエリアにはバイクが沢山残っていて、相対的な位置は悪くないことを実感。
バイクに弾みがついた。


バイクは4:57、トライアスロンキャリア初のドラフティングをとられてしまい、ペナルティ5分ストップがあったのは痛かったが、それを差っ引けば4:52と想定ほぼ想定通りで満足!
やはりホイール効果が高く、ランにはノーダメージといえる状態でトランジット出来た。

そのドラフティングだが、スイムアップの位置が以前よりも良いこともあり、ビュンビュン前走者を追い越していく中で、スイムは苦手でバイクで稼ぐタイプのアスリートも二人居て、ワイコロアから先の上り基調のアップダウン区間において、上りで遅い人達も含めて間合いが詰まり、塊で下り始めて、ドラフティングとならないように間隔を広めつつも、また上りに入り縮まる、と伸び縮みを繰り返している最中にマーシャルのハーレーが横に乗り付け、その自分を含めた三人が一気にドラフティングをとられてしまった。

確かに今して思えば、対向車線を折り返してくるトッププロ選手の車列の間隔に比べれば狭かったのでアウトと言われれば、やはりアウトだ。
日本でプロと一緒になる宮古島、そこで追いつき追い越して行く時に見るプロ選手の間隔のイメージで大丈夫と思って走ってしまった、自分では間隔を開けていたという認識の甘さもあっただろう。
ここコナでは、マーシャルも世界トップレベルの厳しさなのだ。

その後は、もう一度取られたら失格なのだから、慎重に慎重を重ねて、バイクで急ぐということよりも、ドラフティングを取られないように、間を開けに開けて、慎重に走行。

折り返しハヴィでのペナルティボックスでは、長い5分の休憩があったが、折しも降りだしたにわか雨で体を冷やしつつ、補給をとったり伸びをしたりして、初のペナルティを過ごした。

そこからリラックスして、ペースは伸びなかったものの、速度を楽に維持することを感じながら、横風をうまくしのいで、ランの走りのイメージを、辛さに向き合う覚悟を持ってトランジットへ。


ランは3:39、3:30を想定していたものの、蒸し暑さと雲なく照りつける太陽の熱さの最中を最後までコントロールして走り切れたので、満足!

ランはアリードライブの前半は応援多く気持よく走れるのだが、その後のクイーンKでは歩きたい、駄目だ、という思いで走りがちとなる。
エナジーラボ前後からはほんと、辛い、嫌だ、やめたい、といしか思わないのだが、今回は違った。

真夏の伊豆大島でサバイバル43km単独ランして、熱さとアップダウンを自らに課したり、北海道合宿で疲れても疲れても連日走って5日間100km達するなかで、クイーンK後半の走りをイメージしてきた。

疲れても、崩してはいけないポイントを忠実に保ち、しかし走り方は前半元気な走り方と後半疲れてからの走り方をシフトチェンジできるようにして、最後の一歩まで自分の思う通りに走ることが出来た。



コナに出続けて4年間、はじめて自分が思う通りの走りが出来た。
そして向上してきた実感、そしてこの先まだまだ速くなれる手応えも感じた。
次の4年、トレーニングの組み立てを上手く出来たならばエイジ表彰台も視野に入ってくるほどに。

トレーニングの充実のためには、生活の、仕事の充実も欠かせない。
トレーニング時間は今後も、大きく確保することは難しいだろうが、「急がない、詰め込まない、間を大切に!」というスタンスでもここまで出来た。
仕事と生活にメリハリをつけて、レースに向けたある特定の期日に、集中的に強化トレーニングを組み込むことで、年間平均的にトレーニングの拡大は出来なくとも、レースへの効果を見込めるという確証も得た。

やり方次第では、次の4年間でコナの表彰台へ立てるはず。
あとはその道に自分が向かう決意が持てるかどうか。

自信と決意、このオフの間に自分自身と相談しよう。