無事フィニッシュしました!
フィニッシャーメダルをはじめ、フィニッシャーアイテムをゲットした喜びはひとしおです!
今回も準備、遠征もそうですが、スタートから波乱含みの、まさに文字通りの困難な展開が
待ち受けてていました。
夜明け前 3時に起床して、準備、スタート&トランジッションエリアに向かい、直前の準備です。
このゲートをくぐって、軽快にSHIVで疾走するイメージをもっていました、この時は。
多くのバイクが出撃の時をひっそりと待っています。
自分のSHIVもレース装備を施されて、飛び立つのを待っていました。
そのためには、まずはスイムからのスタートを上手くこなさなければなりません。
ウエットを着て、ワセリンを塗り、準備万端です。
このときは風もなく、穏やかな水面に映る景色を眺めていました、この時までは。
しかし、スタート直前、日が昇るとともに風が吹き始め、風雲急を告げる展開へ。
フローティングスタートから、順調に流れに乗って第一ブイにたどり着きました、
1700人の一斉スタートのバトルも楽しむ余裕もありながら。
しかし、ブイを回ると状況は一転、そこに待っていたのは地獄絵図、
そうまさに死を思うほどのするほどの危険な地獄でした。
折しもの物凄い強風により、静かな水面は、荒れ狂う嵐の海が如く、
巨大な波がアスリートを濁流のごとく流すのです!
これにはみな面食らい、もちろん初心者の自分は為す術がありません、
とりあえず波に巻かれながらも必死に前泳者についていき、といっても遅れていくんですが、
次のブイを目指します。
しかし、波に流され思うように泳げず、どんどん思いもよらない方向に身体が持っていかれます。
荒れ狂う水面で顔を上げると、前方すら見渡せないほどの、身の丈もあろうかという巨大な波が自分に襲いかかります。
その場にい続けることも、呼吸もすることも困難なほどで、本当にこの時は、ダメかもしれないと思ったのです。
リタイアするにも、周りには救助の船はおろか、オフィシャルの姿は全く確認できず、
周りに泳ぐ選手もまばらです。
後方を見渡すと、遥か手前をショートカットするように泳ぐ列も見えました。
前方も遥か遠く、しかもゴールは、岸辺はまるで見れません。
ああ、このまま何もせずに波に揺られ続けたら、死んでしまうんだろうなと、
翻弄されながら、静かに恐怖を受け入れていきました。
しかし、本当にここで諦めたらきっと溺れてしまう!
諦めちゃダメだ、諦めちゃダメだ、と自分を取り戻し、奮い立たせて前に進みます。
海に浮かぶ木の葉のように、波に身体を上下に大きく振られては、水を飲み、首は呼吸もままならず、
少し泳いでは止まり、心を落ち着かせ、行先を確認して、
わずかに進む。
これを幾度となく繰り返します、無限地獄のようでした。
まるで映画の中の客船が嵐で沈み、パーティ途中から海に投げ出された乗客のように
無我夢中で岸を、助けを求めました。
しかし助けはありません、幸いウエットスーツですから、呼吸さえ確保出来れば、自分がパニックにならなければ大丈夫だ、と強く信じて、岸を求めて前に進みました。
わずかに目印である岩の浮島が見えてきました。
しかし、遠い、遠い、泳いで確認、泳いで確認、これをもう何回、何時間繰り返し過ごしたのか、
疲労も感じてきました。とくに精神てきに。
このままたどり着かないのでは、いや大丈夫、の自問自答の繰り返しです。
諦めなければ岸は確実に近づいているはず、と強く思いつづけて
1時間55分をかけて岸に生還しました。
まさに、生還です。
そこからは正直この辛さに比べれば比較できない程の、安堵に満ちた道でした。
バイクに乗りさえすれば、恐れるものは何もありません、
タフなクライミングがあろうが、強風による吹き下ろしが向かい風であっても、
ただスピードが出ない、ただそれだけです。
さいわいSHIVという最高のトライアスロンバイクに乗っていることもあり、風にふられることもすくなく、ダウンヒルでは82kmでても安定するなど、180kmを抜き続けるだけの走りでした。
そして、そこからのラン、フルマラソンはさすがにタフでした。
しかし、嵐のスイムに比べれば、多くの応援を受けて走るわけですから、
苦しい、辛いなんて言っていられません。
確かに、筋肉は硬直し足は大きく出ませんし、足裏の皮膚も乾燥したかかと付近からひび割れたようで、鋭く痛みます。
でも、それは皮膚だけです、痛いだけです。たったそれだけです。
足を止める理由にはなりません。
辛さに心を奪われず、フォームに、自分のリズムに、ゴールの先にあるものに思いを馳せ、
集中を切らしません。
ゴールは必ずやってくる。
40kmを超え、ゴール間近にはラストスパート!
思わず笑みがこぼれます。
そして、そして、
感動のゴール!!!
しかし、その目指した場所さえも、達成感すらもスイムアップの安堵感に比べれば、小さいものでした。
それくらい、困難を切り抜け辿り着けたことに、自信と生まれ変わった気持ちになりました。
そう、IRONMANに!
タイムはこのように決して自慢できるものではないかもしれません。
フィニッシャーは等しく勝者であるという、IRONMANの理念を強く
まさに身体に刻み込んだ初IRONMANチャレンジでした。
このゴールの果てに自分が目指すものは、彼の地です。
辿り着いてみせます、いつかきっと。
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