レポート後半です。
疲労で脚がこわばり、視界も狭い感じになる。くだりパートは毎年多くの、また重大な落車があるうえ、雨上がりでウエットな路面だ。この状況では、安全に下るのが精一杯で、流して体の回復を待つ。エイドをまで下りきるが、それでもまだ回復しない。厳しい。。。アップダウンを繰り返すうちに、バラバラになった周辺の選手が徐々にまとまってきて、集団が形成されてくる。補給を取りつつ、何とかペースラインを保っていると、辺戸を過ぎてようやく回復を感じてきた。その後の海岸線では、前を追うというほどの勢いはないが、先頭を引っ張るようにローテに加わり、ペースを作る。
そして、与那からの2回目の登坂、ここも先頭でペースを作る。余裕のある安定したぺペースで上っていくが、やはりギアの不調から、ローギアではトルクをかけられなく、ローを使わないと、逆に重くてトルクが、脚が負けてしまう。次第に呼吸も荒れてきて、山頂まで引き続けるも、またしても脚は一杯一杯に・・・
山頂付近からダムに向けて下りで多くの選手が追い越し、追い抜いていく。またしても、と思いつつも、また時間がたてば回復してくるであろうことを期して、休みつつも集団後方で下り終わり、ボトルをもらい、補給を取って安波の登りへと。
高いパワーは出ないが低いパワーでの持続力はまだいける感じがして、上る集団を後方からついて回復したところで、スルスル先頭に立ちまたペースを作ることに。
すでに自分のレースは完走目的になってはいたが、ただ人の後ろについて楽にゴールしたところで、自分に得るものは何もない。気持ちよいゴールをするために、前に立ち意志のある選手と協力してローテーションをして、出来うる限りの良いペースを作り、ゴールを目指す。ただのゴールと、最善を尽くしたゴール。たとえ順位という結果が一緒でも、中身が、意味が、感じることがまったく違う。それはレベルに関係なく言えること。
今出来る最善の走りを、いつも、どこでも。
幸い幾人かの同士が力を合わせて、集団を引く流れが出来る。そのペースをリードして、登りでマッタリならないように、ペースキープで走る。後ろは大集団なので、平坦の海岸線ではみんなでローテーション出来たら、なんと速いことか。しかし、ローテに加わるのは限られた選手のみ。レースなのでゴールまで温存というのも、分からなくもないが、この位置での大集団ならば、先頭を引いてももはや順位への影響は大同小異、せっかくのツールドおきなわだ、積極的に走ってほしいのだがと思いもするが、、いや、自分は積極的に走ろう、と駄目なら駄目なりの良い走りをするべく同士と協力してペースを刻む。このときに生まれる協調体勢の心地よい走り、あうんの呼吸でまわすローテはとても気持ちが良い。MTBレースではない、この感触は自分がロードに感じる魅力のひとつ。そこにいるライダー全員がゴールを目指す協力者の集まり、チームとなるのだ。加えてもうひとつ、最近のアドバイザー活動から、各種イベント、セミナー、そしてBGフィットで知り合えたライダーが多く走っていて、互いに応援しあいチームのような官職を得られていることは至上の喜びだ。
慶佐次を源河に向かわず直進して、新ルートに進む。ここからもまだまだアップダウンが繰り返される。勝負のかかるペースではないので、安定して走る中、突然のスコールが集団に降り注ぐ。視界が極端に失われた中、大浦湾を左手に最後の登り、羽地ダムへと進路をとる。緩やかな登りから徐々に勾配が増してくる。トップ争いならば、ここからが勝負のポイントになって篩がかかるであろうか。一定パワーで上る感じだでも、さすがにここまで走ってきての登りは試走時と違って手強さが増している。トンネルを抜け、右折をして急になるところで、登坂力の違いから、前に、後ろに選手が入り乱れる。
急峻なアップダウンを繰り返し分裂はしたが、集団はついに最後のピークを上りきる。そこからコーナーの連続するワインディングをときおり70kmオーバーでくだり、国道に出る。もうゴールを目指すだけだ、エネルギーは残っていないが、ここまでくれば安堵できる。集団の中でも積極性を見せた数人は最後の力を振り絞って、ゴールを目指して飛び立っていく。自分は集団のペースラインでゴールを目指し、ここまでレースという時間を共感できた、最善の走りを尽くした同士とともにゴールの瞬間を味わいながら、今年のツールドおきなわを終えた。
レースは勝つ選手だけのものではない、最善を尽くせたかどうか。常に厳しい状況の中で、何からも逃げずに、精一杯を出来たのならば、それこそが得られた結果、順位ではない、本当の自分の成果だ。
どの種目、どのレースもそれはすべて共通、相手を負かすのではなく、自分に勝つ、だから自転車レースは楽しい。
そして、勝者は称えられます!
国際ロードレースで優勝した晋一さんとのレース後のツーショット、周りの人には常に優しく、そして選手と、さらに自らには厳しさを課す、強い魂の持ち主です!
速い、強い、優しい、とスポーツは人を磨き上げてくれますよね、本当に。
晋一さんは自分よりも年下ですが、とても尊敬しています。
自分でチームを立ち上げ、裏方仕事を全部こなし、トレーニングに励み、TTチャンピオンを獲得し、シーズン後半のジャパンカップでの日本人を牽引する熱い走り、そしてここにきてのおきなわ初優勝!
39歳にしてなお結果を出し続ける晋一さんには多くのものを発揮してもらい、それを多くの人が受け取ってほしいですね。
そしてそのほかの勝者、チャンピオンも称えられるものを必ず持っています。
切磋琢磨のレースは最高です!