バイク→ランのトランジッションは、直前にLUMINAトレーニング探訪で、ベルマーレ中込コーチから手ほどきを受けておいたおかげで、焦らず、スムーズに行えた。パワージェルもひとつをラン後半のエネルギーとして、走り始めに摂っておく。ゼッケンを腰につけ(ゼッケンベルトはゴム紐でのお手製、これも中込コーチ直伝)、軽く動きやすい。Twitterのつぶやきから、エントリーしていたことを補足されて取材されることになってしまった東京中日スポーツ、新聞社の皆さんの声援を受け、トランジッションエリアを出てゴールに向けて走りだす。
湖岸の砂浜を走り、いくつもの水の流れを飛び越える。普段は湖の中に沈む湖岸を、大会のために水位調整して浮かび上がらせたそのランコースには、無数の苔むした巨大な岩岩が鎮座していて、それを乗り越えていく。足場を選び、慎重に歩を進める。どこが滑り、どこがグリップして、どう結べば最短で、かつアップダウンが少なく立体的直線に進めるかどうか、を見極める。これはMTBでのライン取りと全く同じ、初めてのトレランだが、MTBと似たその感覚には親しみを覚える。一歩一歩が違う足運びになり、全く同じようには繰り返せない。ボディバランスを保ち、自分の重心をダイレクトに伝えていくさまは、MTB同様に難しい。しかし、それに集中すると体のキツさを忘れて、次へ、次へと、歩を、体を進めていくことが出来る。
ほどなく、5kmのランコース2周目に入った世界チャンピオン、コンラッド選手に追いつかれ抜かれる!これは走りを見るチャンスと、一生懸命に追走する。大柄でお世辞にも俊敏には動けそうに見えないルックスながら、そこはそれ世界チャンピオン、ピョンピョンと立体的な空中ラインも描いて岩岩を飛び越えていくではないか!その長いストライドを思う存分活用した走りには圧巻。
後で粘ってそのままコースをトレースしていくと、スタッフが右手の山側森の中を指す、ロープで直登する区間に辿り着く。コンラッド選手がグイグイ上っていく。負けじとロープを掴んで登りだすが腕の力も段違い、ひと掴みごとに遅れていく。うがーと焦ると、足が空転してスリップ、自然のなかでは焦り、力任せは通用しない。丁寧に行かねば。顔を上げ前を見ると、コンラッド選手はロープを登り終え、崖の斜め斜面をさっそうと駆け抜けていた、カモシカのようだ。自分も、とロープを登り終えて体を斜面に斜めに保つキャンバー走行に挑むが、カモシカとは程遠く、手脚を駆使してずり落ちないように、もがいて進むのが精一杯だ。毎年エントリーしている皆さんが表現していた、人間4WD走法とはよく言ったものだ。崖のよじ登り、木々を乗り越え、舗装路に一旦でる。しかし苔むした簡易舗装の急な下りは、トレランビギナーの自分にとって、群れたトレランシューズのソールでどこまでグリップするのかわからず、慎重に下っていく。鋭角なコーナーもおっかなびっくり曲がっていく。そして次の湖岸ルート、ミステリー的な区間に入っていく。
コースのマーキングは自然保護のためにも必要最低限、ときおり、あれ右かな、左かな、と迷いつつも、奥へ、奥へと進んでいく。鬱蒼とした森の中にはみずみずしさが溢れていて、レースをしているのになぜかふっと癒され、立ち止まりたくなる。とおもった矢先に、今度は2位のUSのウィル選手に追い越されてしまう。これまた走りを見させてもらうチャンス!岩を超え、気を乗り越え、急勾配を登る。ふむふむ、走る部分と、歩く部分、を使い分けていることが見て取れる。なるほど、スピードが出せるところでは積極的にペースを上げて、急斜面や足場の悪いところでは、体を休めつつ、リズムを保ってペースを保っているのだな。どうしても気が急いて急坂で焦って滑って効率が悪かったので、これは早速取り入れられる。暗闇のトンネルよろしく、取水設備の下をくぐっったり、はしごを登ったりもしながら、舗装路にでる。そこから会場まではオンロードか、いやいや今度はスタッフが道路から川の流れに入るように誘導しているではないか。川と言っても、岩が階段状になって流れているので、水流があるわけではないが、しっかりと脚を上げていかなければクリア出来ない。冷静に考えるとなんでこんなところを通るんだ、なんて思うところだが、それはそれ、エクステラならではの楽しみ、岩のひとつひとつ、川で濡れること、ぬかるみに手足が取られること、全てがFUNである。ここでしか、今しか味わえない、楽しみ、まさに地球で遊んでいる感覚だ。そのため、会場に繋がる最後の直線路でさえ惜しい、オフロードを走りたい、なんて思ってしまう自分がいた。
コンラッド選手たちのゴールの歓声を聞きながら会場に戻り、2周目に突入!いよいよエクステラも最終局面だ。水分補給をして、声援に背中を押されて湖岸に飛び出していく。
ランの2周目はルートも、セクションも覚えたし、走り方もトップ選手からラーニングしたので極めてスムーズに走っていける。順位も、タイムも気にしないで、一歩、一歩を、噛み締めるように味わい走る。ここまで、とくにスイムのことを考えれば、順位やタイムは関係なく、ただゴールさえ出来ればば大満足だ。足をくじかないように多少は慎重になりながらも、足取りは軽く弾むようにゴールを目指す。
ロープも、岩場も、川上り下りも楽しくこなして、最後の舗装路にでる。そういえば、満足感と楽しさに浸って追い込んでいなかったことを思い出し、最後の最後に元選手魂を発揮してラストスパート!
ゴールのゲートが見えてきた、トライアスロンでよみるシーンのなかに自分がいる。どんな順位の先取もゴールテープを切れる楽しみ、そこに辿り着いた。やった!一番になったわけでもないのに自然とガッツポーツ!この達成感、苦労しただけに最高に嬉しい。高々とコーステープを掲げてゴールを、自分を称える。フィニッシュだ!!
ゴールするとみんなが労を労ってくれると、どっと疲れが押し寄せてきた。五感を総動員して集中していたし、全身をくまなく使う過酷なスポーツだったから、当然といえば当然か。しかし、その疲労感も、みんなと笑顔でレースを語ることで誇らしくもなる。何を話しても楽しいし、どんな失敗も楽しく話せる。
率直に言って、これは楽しい!と思った。それもできないことが多ければ多い人ほど、ゴールした時の喜びも大きくなるだろうと思った。スイムがまるでダメで、バイクはちょっと人よりも出来て、ランは人並みだった自分で、これだけ楽しめるのだから、どれか出来れば誰でもできるし、あるいは苦手が多い人ほど楽しめるスポーツだ。
来年は、もう少し準備をして臨もうと思う。より楽しむために、必要な準備だ。もっと泳げるようになって、バイクは現状を維持して、もっと走れるようになって、来年も楽しもう。
そしてワールドチャンピオンシップ、マウイへのスロット(出場権)獲得も、
すでに仕事が予定されたいたので、出場は果たせず。
来年はこの 丸沼、そして、マウイ と良い走りが出来るように準備します。
皆さんも是非ご一緒しましょう!
すでに仕事が予定されたいたので、出場は果たせず。
来年はこの 丸沼、そして、マウイ と良い走りが出来るように準備します。
皆さんも是非ご一緒しましょう!