2016年10月19日水曜日

2016 IRONMAN WORLD CHAMPIONSHIP レースレポート

5年5度目を向かえた今年のコナ、昨年は自己ベスト更新したことに気をよくして今回も大幅更新を狙って取り組んできたものの、全く歯が立たず今回も厚い壁に跳ね返される結果となった。
スイム、バイク、ラン、それぞれの向上とそれらのつながりと連携によるフィニッシュタイムの関係をまたひとつ勉強させてもらえたとも言える。
昨年はスイムでまあまあのタイムで上がり、バイクはペナルティとられたものの安定して走れ、ランは大崩れすることなくきついながらもペースはまま保てての10時間3分と自己記録達成。
今年はスイムは7分短縮と自己記録で上がりながらも、バイクはパンクがあったものの自分のペースが上手く掴めずペナルティあった昨年よりも4分遅く、ランは脱水に陥り膝の痛みが出る中でも粘りに粘って5分遅くにとどめ、結果昨年同タイムとなる。

                2015       2016    今回目標           

Swim: 1:18         1:11    1:10
Bike    4:57         5:01      4:50
Run    3:39         3:44      3:35
Overall     10:03      10:03      9:42

今回目標では9時間50分を切ってサブ10を必達!と息巻いてみたものの、3種目で得意なバイクが足を引っ張り、サブテンを達成できなかったのには、心中穏やかではいられない。
昨年は5分のペナルティがあったので実質走行時間は4時間52分、今年は5時間1分なので9分も遅くなってしまっている。今後データを比較し詳しく精査するとしても、レース中の甘い判断が招いた結果だと思っている。

良いタイムでスイムアップして周りにも屈強なアスリートがわんさかいる状態でバイクにトランジット。序盤1時間は快調な速度で順位を上げて走り出したものの、早くも吹き始めた向かい風で失速気味となり周りのアスリートと同じようなペースとなり、ドラフティングにならないように位置取りを気にしていると、次第に間を空けるために脚を止めて楽になることを覚えてしまい、イカンイカンと加速して追い越すという一人インターバルのような走り方になって負担がたまり、自分の一定ペースを保つことが出来なかった。
これはスイムが速くなったらバイクも速い人のペースラインに乗れてバイクタイムも良くなると考えていたのと大きく異なる誤算だった。

実際にパワーデータを確認してみると、今までのレースでは平均パワー240〜250W、平均ケイデンス85〜90rpmの所が、今回は225w、83rpmだった。漕いでいるパワーは今までどおりでも脚を止めている時間が増えてしまった結果、平均が下がっている。平均が下がっていてもフィニッシュタイムが同等以上ならばそれも良しなのだが、今回はパンクの影響もなくはないが、3〜8分も余計にかかっているので失敗だったと言える。全体におけるバイクの不出来の影響は、自分の場合はことの外大きかった。

あとは暑さの影響、というよりも日本の9月の天候不順、冷えと寒さを感じながら過ごしてきた影響もあるだろうか。8月までは順調に暑さ対策ラン20km超を14回ケアンズからこなしてきて暑さへの適応は進んでいたはずなのに、9月半ばから暑いと思うこともなくむしろイベントで体を冷やして体調低下をしている期間が長かったのも不安要素だった。
この辺りレース前一ヶ月の体調コントロールの難しさも改めて実感した。

ここからは、各パートを振り返ってみよう。



落ち着いて準備も万端で集中して、スタートの瞬間を待った。
今回の遠征も気持ち良くリラックスして滞在、レースに集中することが出来て、ご一緒してくださる仲間に感謝至極!!



スイムはコナ、ノンウエットでのPBである1時間11分でフィニッシュ、昨年比7分短縮したので良く出来ました!!
往路は集団とブイから右に外れることがあり少しジグザクとしたものの33分で折返せて、このままいけば1時間10分切れる!と思ったものの、復路はうねりが徐々に出てきて集団での位置をうまく保って進めたものの38分(フローティングスタート位置までの距離もあるし)かかったものの、全般的に練習の成果を発揮出来たので90点以上の自己評価。
今後も今の泳ぎのイメージを保ちつつ、4,090m泳いだジグザクを減らし、集団での泳ぎをもっと楽にできるようにして、ノンウエットで1時間10分を切れるようにしたい。



トランジッションも順調でスムーズにバイクへと乗り移ることが出来た。



今回腹立たしいのは自分の持ち味であるバイクで頑張り尽くせなかったこと。
スイムが早く上がることで速いアスリートのペースで上がれていけるかと淡い期待を持っていて、しかし実際はドラフティングを避けるためにペースラインの後ろに脚を止めて下がっていくシーンが多く、平均ワットも例年よりも低くなってしまっていたこと。



昨年まではバイクで上げるのみ抜き去るのみという気概があったものの、今回は暑さの影響よりも甘えの結果に他ならない。
スイムアップのポジションを上げられた先のバイクでも初心忘れるべからず、脚を止めない休まないを徹底する!!



バイクでのもう一つの失敗はクイーンKを走り終え5時間切りはするべくランに向けてペースを落とし始めた多くのアスリートを抜き去ろうとダウンヒルからの左コーナーでラインを外して一気に抜きにかかったところセンターライン付近の穴に突っ込んでしまい前後輪パンクをさせてしまったこと。
そこからペースダウン、トランジット前のコーナーでもアウトに膨らみバリアに突っ込まないようにゆっくり走ることになりタイムを落としてしまったこと。
バイクはスイムで得た時間を活かすことが出来なかったのが悔やまれる。



全体的にはコナウインドの影響は軽微でタイムの出しやすいコンディションだったと言えるものの、風が強くない=雲が出ない=日差しの暑さがキツい!となり、実際にレース後には脱水症状に陥っていたので、自分自身においては十分と思っていた水分とミネラル補給でも足りていなかったことが分かる。
ランでもその影響を感じてつらい局面もあった。



ランはバイク後半からの暑さから疲労感が強く冷却が必須だと判断、冷却素材のタオルを頭に巻いて走り出す。
写真写り、外観見栄えを気にすることよりも、自分のパフォーマンスを最優先して。エイドでは頭に水をかぶり氷を巻いたタオルの中に保って、頭と首筋を冷却、心理的な辛さは相当に和らげられた。
夕暮れ迫る16時30分頃には曇りとなり(19時過ぎにはシャワーとなる)涼しくなり始めたものの、それまで日差しが強く風がない中で35kmまでは酷暑ランとなったので効果はあった。



バイクでタイムは落としたもののまだまだサブ10への可能性があったので集中して走り続けた。
しかし、走り出し直後から疲労感が重くのしかかり、後に分かる脱水症状によるものだが、リタイアする言い訳を探そうかなと弱気もよぎった。しかしランスタート時は日本人一位でもあったので心のライバルと勝手に思ってる白戸太郎さんに追いつかれてから言い訳探しをすればいいやと、まずは自分の走りに集中。



アリドライブ往復の約15kmはキロ5でいけたもののエイドが遠く感じていたので既に脱水症状のよう。クイーンKに上がってからは多少頭にクラクラ、目がチカチカする感じに加えて、さらにハイウエイの路面の傾きで膝が捻られて冬の痛みが再発、エナジーラボまでの15kmはキロ5’15に落ちる。



クイーンK復路をフィニッシュまでの12kmはキロ5’30での痛みと視界チカチカの我慢との戦いで集中を欠いたらいつでも歩き出してしまいそうで、サブテンへの望みを繋ぎつつ一歩一歩に最善を尽くす。
最後花道も倒れる寸前まで、昨年の自分の記録に負けないように残る力を振り絞って。
結局タイムは良くなかったものの最後まで集中して走りれたことは良かった。



フィニッシュは疲労困憊で腕を上げる元気もなくラインを超えた瞬間にうなだれ倒れるように、頭は下がっているものの気持ちは上げて辿り着いた。
自分で目指した記録には到底届かずコナに打ち返されてしまったものの、スイムPBとランでの粘りは自己評価できるし、今後のバイクの戦略を考えるに十分な状況把握は出来たのは良かった。



走り切ること、出し切ること、今出来ることは、レースの中では自分自身ではやったつもりだった。
しかし、やはりバイクで後手に回ったことは否めない。



スイムは上手く泳げた、ランでも出し切れた、しかし持ち味のバイクで上手くペースを組み立てられなかったので、同じ頑張りを発揮したとしても結果フィニッシュが芳しくなければ、満足は相当に低い。

トライアスロンの難しさを今回もコナから学ぶことになった。
本当に3つのパートを万事抜かりなくこなし繋げることは極めて難しい。
練習で高めたとしても。

「コナの借りはコナでしか返せない」

多くのアスリートが口にするこの台詞を今回の悔しさと共に噛み締めつつ、この冬を過ごす糧としよう。