2009年11月9日月曜日

ツールドおきなわレポート前半

イベント名: ツール・ド・おきなわ 2009

場所: 沖縄県名護市および周辺一般道

WEBhttp://www.tour-de-okinawa.jp/

開催日:2009/11/08

天候:晴

動員人数:3500人超


使用機材:

バイク    SPECIALIZED 2010 S-works Tarmac Sl3 SLBG Fitted

アイウエアー SPECIALIZED Helix with ADAPTALITE PHOTOCHROMIC NXT 

シューズ   SPECIALIZED 2010 BG S-Works Road Shoes

HRM    POLAR RS800CX

サプリメントレーススタート30分前 GOLD’S GYM BCAA&アルギニンパウダー

レース中エナジー摂取 パワージェル 9個

           パワーバー 2本

レース終了直後 GOLD’S GYM グルタミンパウダー

              GOLD’S GYM BCAA&アルギニンパウダー

マッサージオイル Sports Balm  イエロー3,シャモアクリーム



結果 19位 


内容

念願が叶い、初めてツールドおきなわに参加してきました。

このイベントは国内、最大、最高のロードバイクの祭典といっても過言では無いでしょう。自分がサラリーマンレーサーだった1996年頃からいつかは沖縄へ、という思いを持って、雑誌を眺めてきて、プロを引退した今年、そのチャンスに恵まれました。

はたして、実際に走ってみると、まさしく、その思いは現実のモノとなり、過去最高の満足感を得られたロードバイクイベントでした。

特徴はなんといっても、沖縄であること。

自然豊か南国の景色、常夏の天候、そして島人とのゆるやかなふれあい、最高のローケーションでした。

そこ行われるイベントも、充実したプログラムです。

土、日と、様々なライディングイベントが盛りだくさんで、UCI公認の国際ロードレースから、同女子、ジュニア、市民では200km、130km、85km、50kmと様々なレベル、距離が選べるようになっています。

さらに、競争一辺倒ではなく、2日間をかけて沖縄本島を巡る330kmロングライドや、

ビーチリゾートのシーサイドを隣町の恩納村まで気持ちよく往復出来るツーリング、はたまた高級リゾードのステイを中心に、ライト&プレミアムなツールドおきなわを楽しめるハイソなコースも用意される等、盛りだくさんです。

土曜日の開会式に先立って行われる、地元保育園、幼稚園対抗の三輪車チームリレーは、アメリカンなDJの軽妙なトークと相まって、最高に盛り上がっていたことが、このイベントビッギパワーを象徴しているな、と感じました。

その後の、国際ロード参加選手のタイムトライアルが商店街の目抜き通りで行われ、街と、人と、イベントが、融合しているのも、本場さながらでした。


さて、自分が参加したレースは市民200km、これぞロードレース!という醍醐味しか残らない程に、それはそれは、コースも、難易度も、そしてそこで競う全国から集う強豪達も、素晴らしいものでした。

それぞれの仕事をこなす傍ら、一生懸命にハードトレーニングを重ねてきたアマチュア最高峰のカテゴリーであり、そのなかには、親しくさせてもらっている鶴見辰吾さん(俳優の、と紹介するよりもLEGON主催の本気サイクリスト、と紹介した方がもはや通りが良いかもしれませんね)、こちらも元F1レーサーというよりは、登山家であり、南極単独横断などの冒険家でもあるシリアスサイクリストの片山右京さん、など、も、マジ参戦です。

過去の歴代チャンピオン達も一同に介し、まずはこの場にこれて、同じスタートを切れることが、嬉しさで一杯でした。


朝7時スタートのため、4時30分に起床して朝食をとり、宿泊していた恩納村を5時に出発して、大きな参加選手用駐車場まで車で移動しました。その道中も、こまめに即効性のあるパワーバーのようなエネルギーをとり続けます。ゴールは12時30分頃と長丁場であり、消費カロリーも5000kcalを越えるため、ハンガーノック防止のためです。自分の体内のグリコーゲン、2000kcal+パワージェル等で補給する1500kcal、という糖質由来のエネルギーが主なエネルギー源になります。体脂肪由来のエネルギーも、運動強度によってはある程度期待出来ますが、このレースでは、集団の巡航ペースの高さ、コースのクライミングの多さから、5時間といえども、かなりの高強度を持続して走らなければならないのは明白であり、そのために、朝もいつもより多めにとり続けるように配慮しました。

レースをきちんと走るエネルギーと、ただ走りきるだけのエネルギーでは、捉え方が違います。コレだけあればで走れる、と考えているエネルギー量では、不足しまい、ペースダウンを余儀なくされている選手も多い事を、理解しておいて下さい。


駐車場に着いたらバイクをおろし(全ての準備は前日に済ませておきます、センサーやゼッケン、補給食、ボトル等です)会場に行き、まずはトイレの渋滞をクリアします。これはどこのイベントでもそうなのですが、タイミングずらす、場所を離れているところで済ます等、各自の工夫が必要でしょう、スタート前の貴重な時間を並んでいたら、もったいないです。その間、ストレッチをしたりしながら、待つのも良いですね。


さて、招集場所では、共に走る選手と談笑しながら、スタートを待ちます。もちろん目指す歯優勝のみ、というガチンコファイターは談笑どころではない程のテンションなのはわかります。幸い?自分の周りは、自分も含めベストを尽くす!を合い言葉に走る方だったので和やかな雰囲気でした。自分は、プロ引退後、さまざまなイベントでのライドの機会には恵まれてますが、特定のゴールを設定して、そこに向けてプランニングされたとレーンングをこなすという、自分のスタイルであり、トレーニングの王道である、手法は全く出来ていないので、「優勝候補と目されています、頑張って!」といわれても、「はは、ベストを尽くします(苦笑」としか応えられない状況でした。でも、ベストを尽くす、は自分のモットーであり、

すべての参加者の目指すゴールだと思っています。


いよいよスタートラインに移動して、7時ジャストの号砲により、レースはスタートしました。200kmの長い道程です、最初はゆっくりなのかなと思いきや、グングンスピードは増し、あっというまに50kmhに届きそうな勢いで、ハイペースで巡航していきます。400名という巨大な集団の中では、後方にいては落車等トラブルのもとだし、上位を狙う選手達には、出遅れを意味してしまうので、前方への位置取りが、序盤は重要なのでしょう。


最初の半島ループの間にも実際にひやっとする場面がありました。5分前スタートの中学生を追い抜いていくたびに集団は不安定な状態になり、接触もありました。また、工事区間など道路サイドの安全のために設置されてパイロン、表示などにも接触の可能性もありました。なるほど、スタート直後の位置取りが重要な事がすぐにわかりました。

なかには、この序盤で、落車に巻き込まれ、怪我を負いながら、自力で追い上げてきて、レースの完走を果たした仲間もいて、ネバーギブアップは、なにより強い、と改めて認識しました。


海岸線沿いにでて、淡々と進行している様を見て、思わず、前にでて、ちょっと仕掛けてみようかしら、と分不相応なことも考えつつ、チョコーンといってみましたが、同調は得られず、ま、いくら何でも時期尚早だよね、と落ち着きました。


その後、アクシデントが起きました。トイレ休憩をしようと、コースサイドによったら、たまたま側溝に出くわし、前輪がスリップ、転倒してしまいました。。。巻き込みが無かったのが、幸いでした。ほっとして、バイクを見渡したら、ハンドルがステムから曲がって、右ブラケットが内湾し、レバーもガタがでてました、あちゃー、やってもうた、と頭を抱えたけど、まずは用足しして落ち着きを取り戻します。

ほどなく、シマノニュートラルカー、機材メカニックの車が着たので、呼び止め、工具を借り、バイクを直します。変則は、がちゃがちゃする程度だな、とおもい、そのままハンドル、ブラケットだけ直して、再スタート。

集団はどこ?長い海岸線、まるで見えません。。。絶対追いつくと信じて、漕ぎ始めます、が、なんと、リアの変速がトップ3段にまるで入りません!エンドが内側に曲がってしまっていて、トップ側にいかないのです。頑張れど、スピードは出ません、向かい風も吹いてきました、多勢に無勢、泣きそうになりました、正直な話。


このまま足切りになっちゃうのかな?初の沖縄はこれで終わり?など頭をよぎりましたが、上りでかならず追いつけるだろうと、そこまで頑張ろう、と決め、クルクル漕ぎ続けました。

しばらくいくと、車が数台見えます!あれだ、と。その先には、いました、集団が!

嬉しい、が、追いつくまで気が抜けません。さらに脚に力を込め、必至に追いかけます。

沿道のおじいちゃん、おばあちゃんも必至に応援してくれます、もうちょっとだよ、と。

そのもうちょっと、が、遠いのがロードレース。が、がんばって追います、そのかいあり、車が近づき、車列を追い越し、ようやく集団復帰!ふー、やれやれ。


なんとか、体を回復させねば、ということ、バイクのリア変速をどうするか、今度はそれについて考えながら、集団の後方でしばし休みました。ほどなく、130kmのスタート地点を通過するときに、減速、減速、止まりそうな程の減速、よしチャンス!と思い、脇に止まりリアメカを握りしめ、エイッ!とエンド修正!?かなりの荒技だが、逆に力を入れすぎておらないように注意して、取りあえず、トップ側までカバー出来るようしました。。そこから、飛び乗り、スタート待ちの130kmエントラントの列に笑顔で手を振り、応援?に応えます。


トップには入るようになったが、中間がチャラついて、デリケートなペダリングが要求されます。クライミングは大丈夫か?ままよ、と与那の上りに突入!後方からクルクルと回してまわして、追い上げていきます。しかし、登り始めは、みな脚を温存しているからか、後方でも速い!ぬけどもぬけども、トップは見えないまま。

ムームーと思いながら、必死で追い上げます。微妙に左脚の出血部に違和感を感じます。が、これしき、MTBでのレースではシングルトラックで転んだら、ままある事、と割り切って、漕ぎ続けます。プロは引退したけど、結局レースは好きなのね、と妙に痛みを我慢出来る自分に納得がいきました。

さてさて、木曜日のコーストレーニングで登った道なので、この先の状況を知っているので、緩斜面になったら、すかさずアウターに入れて加速度をつけて、追い越し、前に出て、その速度の貯金をつけて、良いペースを維持します。そして、体感的には頂上を過ぎて少し下り始めたっぽいところにある山岳ポイントを通過すると、周りの選手は、お、速そう、と思えるメンバーになってきました。これは、希望が持てる、なんて感じました。


下り始めると、フロントブレーキレバーにもガタがあるので、ちょっとこわい、がすぐにその感じにも慣れ、ビュンビュン下ります。70kmくらいでてますね、転んだら痛そうだな、と、超軽量ホイールの前輪に少し、遠慮をしながら、程よく下ります。本当はターマックSL3の剛性にあった、もっと高い剛性のホイール、もう少しエアロなホイールがベストです。

でも、SLSLの全くの完成車仕様は、乗鞍でも、沖縄、でもそのままの仕様で走れているので、ある意味お得な完成度かなと思ったりもします。

下りきると、エイドステーション、補給所です。水と、スポーツドリンクがありますが、水は体にかけて火照りをとる、冷却水として使用しました。スポーツドリンクは、持参のボトルも飲みきり、また2本貰いました。前述のエネルギーの補給とともに水分の補給も、パフォーマンスに影響します。長丁場のレースうえ、その発汗量は相当なものなので、かなりの摂取量でカバーしなければなりません。血液の粘性が高まり、酸素供給、エネルギー代謝が低下してしまいますので、疲労の増大、エネルギーの枯渇、筋肉の痙攣など、さまざまなデメリットがあります。酷暑、長丁場では、積極的の飲んでも飲み足りないくらいだと覚えておいて下さい。


そこからはコーストレーニングで走っていない未知の区間です。辺戸岬までのアップダウンは、おもったよりもキツい!ドカーンと下ったかと思うとドカーンと登り返す、これを繰り返します。下りきったところでできた小集団で前を追います。先頭はどこ?追いつき、確認、追いつき、確認、を繰り返しますが、まーだだよ、の連続でした。もう確認も面倒くさく、とにかく前へ、前へ。

あの人も抜こう!と気合いを入れて抜いたら、あら、シマノの白石さんではありませんか!

生協の白石さんではありません、シマノの市民レーサーでおなじみで、過去の優勝経験をもっているんですよね、ということは、トップ集団に復帰!嬉しかったです、正直。満足感的にはここでピークを迎えて、自分のレースはすでに終わっていたかもしれません。

その後、話を聞くと、前に外人含む数人が逃げている模様で、追うか!ということになったけど、まあ、同調もいず、下りの速度の乗りはハンパ無いので抜け出して追えるはずも無くおとなしく集団に収まります。しかし、ここまでかなりの疲労です、正直完走ヤバい、と本気で思いました。

脚をまわしてまわして、パワージェルを飲み飲み、回復に努めます。パワージェルはフラスコに入れて携行することで、いちいち飲み口をきったり、ゴミを気にする必要がなくなるので、このフラスコ利用がおすすめです!それにドロッと濃いと暑いときには飲みづらいので、水等で好みの粘度に希釈することができるのも、ポイントです。ちなみに自分はアクエリアスで薄めます、ちょっと酸味?というかフレーバーテイストがマイルドになって、かなり飲みやすいです。また、今回ボトルの中身もアクエリアスで、安上がり?な感じです。オフィシャルのスポーツドリンクもアクエリアスとのことでした、こちらは超薄味で水とあまり変わりませんでしたが。

程よく回復も感じられて、あれ、今日は調子良い?というかトレーニングしてないから調子がいいも悪いも無いけど、とにかく、練習していないから、体の蓄積疲労が無いから、疲れる事すら気持ちがいい状態で、もりもり漕げる感が復活してきました。今日はイケル!などという強気はさらさら起きませんでしたが、完走は問題無し、あとはどんだけ頑張れるか!みたいなやる気満々でした。

辺戸岬に辿り着いた時、異変は起きました。オフィシャルが何かいって、コースを塞いでいます。が、こちらには全く事情が伝わらず、危険な減速の中、岬を通過してしまいます。その際にコース脇(わりと道路の中頃にありましたが)のパイロンんびひっかかり、あやうくまた落車の危険がありました、MTBの経験からかとっさにリカバリー出来たので事無きを得ましたが。横では、オーベスとの西谷さんが「大丈夫?」と微笑んでいました。

何がおこったかわからないまま、集団は前に進みます。その後ろをオフィシャルカー&バイクが猛スピードで追ってきて、レッドフラッグを振り、静止にかかるのでした。

???

全員何がおこったか理解不能のまま、完全に停止する事態になりました。そこから、道路脇の港の空き地に追い込まれ、さながらスピード違反で捕まった、みたいな感じです。なんでとまるのか?どんな措置がとられるのか?全くの説明が無いまま、混乱が広まり、しかし、時間は過ぎていきます。結局30分間停止し続け、困った事に、峠で実力に応じて分断していた200kmクラスの走者が全員また一塊に戻り、完全に振り出しに戻ったのでした。

ここまで頑張ってメイン集団を維持してきた選手の努力と疲労はどこにいってしまうのでしょうか?集中力を切らしてしまった、有力選手もいた事でしょう。後続選手にはこりゃラッキー、などと思う方もいたでしょう、たしかにラッキーです。でも、自分の実力は、自分で

わかっているはずですよね。

起きてしまったアクシデントはしょうがないと思います。しかし、そこでキチンとした説明が選手にされてしかるべきだったと思います。様々な憶測や不平不満をよび、きちんとしたスポーツとして、けして後味の良いものではなかったでしょう。

実際事の顛末を終了後に聞いてみると、前にスタートしているチャンピオンクラスの集団の進行が計算以上に遅く、市民のトップの逃げが追いついてしまいそうだったから、混走になるとUCI公認レースの規則がおかされてしまう、という点から時間調整がなされたそうです。そして、その余波は他のクラスにも広がり、85kmクラスではシビアな足切り、完走者の少なさ、ということや、逆に200kmクラスでは完走者には救済的な運営になってしまいました。

警察の道路許可の得られている時間という制限と、メインレースであるチャンピオンクラスのルール厳守という、板挟みのなかでのぎりぎりの選択による苦渋の決断だったと思います。だれも、オーガナイズをせめたり、代わりが務まることはないことは理解しています。

これだけの素晴らしい市民レース、”おきなわ”という祭典、失われるのも、色褪せるのも誰も望みません、しかし、即時的な説明は欲しかったです、それは悔やまれます。

30分という時間は、場の空気を完全に冷やすには十分なものでした。が、それでも、勝利を狙った一握りの方達は、けして自分を見失わずに集中を続けていたのでしょう。

レースの2幕は、そんな勝利を目指す選手達のために再開されました。


つづく