2013年12月31日火曜日

A HAPPY NEW YEAR 2014


新年あけましておめでとうございます!

旧年中は皆様の応援のお陰をもって、バリバリと挑戦しながら前進出来た感があります。

今年も、益々向上のため自己錬成に励んで、その還元を皆様に様々な形を通してしていきたいと考える所存です。


ロードも、MTBも、トライアスロンも、全て楽しみの根っこは同じです。

いかに自分をコントロールし状況を打破して、前に進み続けられるか、
その繰り返しと持続に、どれだけ情熱を傾けられるか、なんだと。

挑戦することを楽しもう!

それを自ら実践して、そのエッセンスを伝えていければ幸いです。

すでに出来る事を続けて得られる楽しみよりも、出来ないことを出来るようになることに挑み続けることにこそ、苦しももあれば、それを乗り越えた価値に、真の楽しみを見いだせると信じています。

こんな自分ですが、本年もよろしくお願いします!

竹谷賢二 TK










2013年12月24日火曜日

S-Works EPIC 29 WC ガッツリライド! ”機材””知識””スキル””体力””経験””バディ”で味わう楽しみ

スペシャライズド S-WORKS EPIC 29 WC を来年のレースのために、シェイクダウンライドしました!

XCOレース、SDA王滝、そして各地のローカルMTBレースに、時間を作って参加したいと思っています! 

まだ来年の公式スケジュールが出ていないので、確定はしていないのですが、全日本選手権を目指して、Jシリーズもエントリーしたいかも、と。

レースバイクとして、これ以上はない最高峰である、このEPIC WC、
どうしてスタンダードEPICを選ばなかったか、というと、この切れすぎとも思えるほどのシャープなハンドリングが自分の好みにピッタリなのです!!!

これぞ相棒、最高の”機材”ですね!


Mサイズ、サドル高73cm、ステム110mm0度でのセッティング状態です。
ライドをしたら120mmステムでも上りは良さそうということで、ハンドリングと相談して調整、決定していこうと思います。


そして、スタンダードとの間で悩んだのは、フロントシングルであったことです。

しかし、自分のパワー、トルクバンドならば、32Tならば120kmのSDA王滝でも問題なく走り切れたので、34Tから32Tに交換しました!
これで、長時間ライドでも王滝でも大丈夫ですし、急勾配のトレイルでもかなりイケるでしょう。

XCOレースならばダンシングで乗り切る練習をしておけば、34Tでも大丈夫だとも思っています。

詳しいインプレッションはコチラを参照してみてください。


そして、初乗りはこんな感じでした!


なんと、雪道です!!
EPIC WCならば雪道も大丈夫、的な感じで、
まるでWC=ウインターコンディションのようですね(笑


走り始めた場所は、とある県境なのですが、標高の低い場所は雪などありませんでした。

数日来の天候を考えると当然山頂付近は積雪しているだろうと予想して、稜線を途中から入るので影響は軽微と思い走りだしました。当然積雪の対応装備も備えて。

先を読みつつ行動する”経験”が必要な部分ですね。


登って行くと、霜が降りサクサクしたり、凍結していたりとだんだん凍てつく世界になってきたな、と、


すると、雪が路面に残り始めて、北斜面ではバッチリ積雪になってきて、


そしてコーナーを抜ける度にグングン雪の量が増えて、バイクが自立するほどに!
積雪量はこの時点で20cmくらいでしょうか。


その上、さらに雪は深くなり稜線手前、深いところでは30cmを超えていました!
陽がさし、暖かに見えますが、実際漕いでいると暖かいですが、日が陰り止まっていると、アッという間に体温を奪われるような状況でもあります。


前日に走ったであろう車の轍が走行ラインになります。
圧雪されていますが、その表面は硬く凍結し、その上に雪が軽く乗ってグリップはするものの、ラフなペダリングを一瞬でもすると、空転してストップしてしまい、走りだせなくなる状況です。

途切れることのない連続したトルクを優しく丁寧にかける、トラクションコントロールのためのペダリングをして、バイクを進めていきます。


車の雪道運転と一緒で、急のつく操作は厳禁、パワフルなペダリングよりもアクセルワークを慎重に、コントロールする能力、スキルが必要になります。

そのうえ、タイヤ幅の轍で側面は凍結して硬い壁ですから、前輪、後輪をぶつけるとバランスを崩ししてしまいますから、まっすぐ走る、あるいは、コーナーも上手く曲がれなければ、やはりぶつかって転んだり、止まってしまいます。

がむしゃらなペダリング、ラフなコントロールでは、まるで走れません。


上り詰めたら、補給を取り、エネルギー回復させて、上着もきて体を冷やさぬようにして、尾根を下っていきます。

下りも積雪ですから路面に隠れた障害物や雪の深さにより、思いもよらず滑ったりハンドルをとられたりしますので、とっさに瞬間のバイクコントロールが必須になります。


上りも下りも、かなり高い”ライディングスキル”が必要になりますので、オンロードを普通に走れます、程度では10mも乗り続けることは出来ないでしょう。

また、登り返しも当然積雪ですから、激坂はとても乗れませんので、バイクを担いで何十mも登り上がれる筋力と脚力という体力も必要になります。

また、止まると寒くなるので、動き続けられる”行動体力”も必要です。


ようやく降りてくるウハウハなコーナーを楽しみ、土と落ち葉の世界に戻ってきました。

WCのリニアなハンドリングに、自然と喜びの声が湧き上がります!

ブレーキを緩めて加速をしながらコーナーを抜けていく感覚は、29ならではでしょう。


そしてその楽しみを共有する仲間、”バディ”がいてこそですね!

楽しいことは「楽しい!」って口にするから、それが確実なものになるのです。

そして、バディの存在なくして、こういったシビアコンディションに足を踏み入れることは決してありません。


お互いの身は自己責任をもって、自ら守るのはアウトドアスポーツの基本であり、鉄則ですが、それでも万が一の時に助け合える仲間が居てこそ、出来る事、味わえることがあるのです。

そして自分の落ち度で、バディを危険に晒すこともあることも肝に銘じておかなければなりません。
それらを重ねて生きた”経験”として積んでいくことで、こういった世界に入って行くことが出来るようになります。

MTBレースで得られた経験でもかなりカバーできますが、それだけでもまだ足りないものなのです。




”機材”と”知識”も必要ですが、これらはお金で買えます。


それ以外の”スキル””体力””経験”、そして”バディ”、これら6つの要素がその人の行動可能な範囲を決めます。

まるでロールプレイングゲームの勇者のパーティを揃えて鍛えるようなものなのですが、まさしくその通りです。
始めは難易度低いスライムのいる場所からにしていきましょう。
6つの要素を揃えていけば、自ずと行動範囲が広がり、ドラゴンが居る遠い高い場所まで自由に動き回れるようになるでしょう。


”機材””知識””スキル””体力””経験””バディ”、6つの要素を揃えることでしか、味わえない楽しみがあるのです。



2013年12月16日月曜日

楽に出せる速度が上がれば、頑張って出せる速度が上がります!

週末は九州は福岡県へ!
全国行脚は年末年始を挟んでこれでようやく一服です~



さて、土曜日は久留米市のサイクランドシライシさん主催のライディング講座での講師です。
トレーニング編とペダリング編での4時間、盛りだくさんの内容で行いました。

ホワイトボードに、拙い図解も用いて、見えないものを見えるようにして説明しました。

力の方向のイメージを掴むことが、身体の動きのコントロールにとても重要なので、→で示して理解を深めました。

その上で、ペダリングの解説、そのための機能的なフォームとは、をバイク上でも解説。
それを実現するための身体の動きの身につけ方、感じ方を、実際に身体を動かしてもらい、体感してもらいました。





翌日は、福岡県ジンジンフクオカイワイさんが主催されているトライアスロンクラブでの講座でした。

座学でポイントを理解してもらい、その後に実走行、バイクで実践と、そても効果的な進行で行えました。

両日通して、というよりも、いつでも言っていることは、
「楽に出せる速度が上がれば、頑張って出せる速度が上がります!」


頑張らない=楽だけど遅い、頑張る=苦しくて速さを維持できない

ではなく、

体力負担が少ない=楽にスイスイ、体力負担を増す=その分だけスピードアップ!
トライアスロンにおいては、バイクフィニシュしても、まだラン、フルマラソンが待っていますから、体力負担をできるだけ抑えつつ、できるだけ高い速度を手に入れたいのですから、この考え方が重要です。
ランで必要な体力は残して、負担と速度のバランスを取りますが、そもそも楽に出せる速度が高まらなければ、体力負担を払っても苦しく大変なだけで、あまり速度が上がらないことが往々にしてありますが、それは無駄な力をかける、フォーム、ペダリングという動きの良し悪しで効率が下がってしまうからです。

黒板にもありますが、
STEP0 姿 フォームをしっかり
STEP1 抜 無駄な力を抜く
STEP2 増 ペダルに掛かる力を増やす
STEP3 使 筋力負担を使う
という段階に応じて、速度と負担のバランスを取っていきます。

ちなみに自分の場合だと、STEP1だけで30km/h、STEP2で35km/h、STEP3で40km/h出るイメージです。

STEP1、楽々段階で20km/hしかでなければ、STEP3で筋力負担を増しても、30km/h少々となってしまいます。それは、自分ならば楽々出せる速度です。
体力だけの問題ではなく、動きの効率性も重要であり、走力に支配的に働いています。

実践を終えた方の中には、「5km速度が上がった!」という方も居ましたし、末端の負担が減ったという方がものすごく多かったです。



自分は解説、実践にS-Works VENGEのトライスロン仕様で走りました。

軽快は走りはそのままに、エアロ効果を得て、さらに楽に速く走れます。


バーは、スペシャライズドがリリースした、クリップオン式のエアロバーパッドです。
簡単に脱着できることと、調整幅の広さが特徴で、とくにパッドの位置が高さ、幅、前後位置が、最高レベルに調整可能なので、ロードでのバーポジション、とくにパッドの位置が、しっくりこない方には、特にオススメします。

カーボンバーかアルミバーを、そしてベンドも選べますので、隠れた人気アイテムになりそうです。



サドル位置は、このように超前乗り仕様に。
リバーシブルのピラーを前向きにして、サドルも一番前にセット、これでかなり姿勢の保持が楽に、そしてペダルに掛かる力を増やすことが出来て、楽に速くが可能になります。

楽に速くには、動きのスキル向上が大切、そしてバイクの合わせも大切です。

冬の間に、それぞれじっくり時間をかけて煮詰めていきましょうね~

2013年12月9日月曜日

そうだ 京都、行こう。 ストラーダバイシクルズ京都店へおいでやす~

そうだ 京都、行こう。
ということで、晩秋深まる京都に週末は行ってきました!

といっても、しっぽり観光旅行ではなく、もちろん自転車行脚ですw


向かった先はこちら、ストラーダバイシクルズ京都店です。


滋賀本店から、京都店を最近立ち上げられて、その一環として、スペシャライズドとの合同企画での、 The Ride Meeting という形で、インドアセミナーとライディングレクチャーを行いました。


初日のインドア座学編では、熱心な方々にお応えして、時間延長して、盛り沢山の内容で徹底解説。
つま先からてっぺんまで多くのことをお話しましたので、頭のなかがオーバーフローかもしれません(苦笑

でも、冒頭の"楽になるため、速くなるため、上手くなるため"の勘所を身に付けて生活していくことが大切なのですので、忘れた時には、最初の話を思い出してくださいね。

こちらにはブログにも紹介してもらっております。


日曜日は実走編ではカラダを動かし操り、解説内容を体現してもらいうべく京都を目一杯走ろうかと考えていましたが、あいにくの小雨交じりの寒空に。。。

そこでメニューを変更して、ライド前にインドアでのカラダ感覚を呼びおこして、部位の位置、角度、タイミングを覚えてもらいました。それをバイクで再現してもらい、そのビフォーアフターを撮影して視覚情報としてフィードバックすることに時間を掛けることにしました。


そしてそのレクチャーで劇的に変わった女性です。
乗り始めて1ヶ月とのことで、バイクが不安定で怖い、ハンドルが遠く過ぎる、前傾姿勢無理だった状態でした。

写真は姿勢保持と前方視界の確保の所作をお伝えしているシーンです。



その後のライドでにお変化はコチラ!
下ハンドル持っても怖くない、もっとハンドル下げたいほど楽々乗れるようになりました!
素直な思考と柔軟な身体であることの多い女性は、上達が早いこと、早いこと。

初心者だからと、不適切に乗っていても上手くならずに、下手に乗ることに慣れるだけの時間の無駄になります。乗り降り、変速、ブレーキに慣れたら、直様、基礎から適切に乗れる機会を得ることはとても大切ですね。




そんな有意義な機会を用意してくれるお店なのですが、見た目はバリっとオシャレに決まっていて、グラスエリアも広く明るく、初めての方もとても入りやすい店構えです。

高級感もバリバリですな~


中に入ると、バイクが広々、イキイキと展示されていました。

メカニックも、実業団選手であり、ハイレベルなサービスを提供されていて、そのためのガラス張りのテックエリアもカッコイイです!


アクセサリーとか無いのかな?と思ったら、なんと、地下への階段が。。。



階段を降りると、そこにもまた広大なスペースにゆとりを活かした、見やすい展示でもうワンフロアーがあったのです!


カーペット敷の心地良い展示スペースは観ていて、とても快適です。

ディスプレイも凝っていて、ファッションに疎い自分でも、感度の高いお店であることがよく分かります。


各ブランド毎、アイテム毎に、整理されていて、希望のアイテム、在庫も多いのでお気に入りもきっと見つかると思いますよ~


さらに、ランシューズも!
ニュートンなどトライアスロンに強いアイテムが豊富に揃っていて、トライアスロンを始めたい方、既に始めていて、仲間や一緒に練習する機会を求めている方にも、こころ強いお店になっています。



実際、今回のライドミーティングでも、多くのアスリート、トライアスロンにこれから挑むサイクリストにもご参加頂き、イヴェードをご注文されていたり、SHIVの相談も進んでいるようでした。


なんといっても、こちらの店長は、洞爺湖でのアイアンマン・ジャパンを初チャレンジながらフィニッシュした女性アスリート、小さな巨人、もとい、小さな鉄人なんです!

こちらは女性のサイクリスト、トライアスリートも多く、これから始めたい方にとてもオススメのお店ですよ!!



また次回も、いろいろと趣向を凝らした機会を作っていきますので、
こちら京都で、是非ご一緒しましょうね~

2013年12月2日月曜日

骨盤角度は?起こすの?倒すの?【フォーム&ペダリング編】

【姿勢編】では、立位とエアフォームでの骨盤角度と姿勢の関係を解説しました。

適切な姿勢とは、体の負担=筋力負担だったり、余計な力み、局所的な緊張の少ない姿勢です。
姿勢を構成する、頭部、胸部、腹部、腰部(骨盤)、そしてそれらの柱である脊柱との位置関係を適切に保てれば、筋力発揮は少なければ少ないほど、楽に長く維持できます。

各部の負担とは、その部位の重み、頭であれば5~8kg程度ありますが、それを隣接する部位で支えています。

頭、胸、腹、腰でざっと体重の60%、両腕で10%、両脚で30%といった重さの分布になっていますので、自分の体重に換算して、それぞれの部位の重さを数値的に実感してみるのも面白いでしょう。

立位でしたら、その重さを鉛直線、地球の重力方向に引っ張られていまして、頭、胸、腰、腹、腰、脚と垂直に縦に乗っています。

頭の重さは胸が受け止め、頭+胸の重さは腹が、頭+胸+腹の重さは腰が、頭+胸+腹+腰の重さは脚が受け止めています。

筋力だけでなく、骨格もその重さを受けていていまして、脊柱、骨盤、脚の骨にも荷重がかかっています。
脊柱、背骨のS字カーブは垂直方向に掛るその重さを支えるために形成されているのです。

立位の時は、それはだるま落としのように縦に綺麗に成立していれば、バランスがとれて安定しますが、それぞれの位置が前後左右にズレると、筋力で引っ張り支えるという緊張状態、負担の高いアンバランスで不適切な姿勢となってしまいます。



では、話は乗車姿勢=ライディングフォームに移りましょう。

画像では重さを矢印で擬似的にイメージとして表現しています。

立位では前述、縦に掛かっています。
ライディングフォームでは前傾姿勢となることで、それぞれの部位は縦のラインから前方にずれていくことになり、それぞれの重さが下方向に掛かります。
この部位のズレ=重さのズレにより、先ほどの立位での骨格が支える割合が大幅に減少して、代わりに筋力で支える負担が大幅に増えるのです。前傾姿勢を維持する辛さは、これにあります。
ズレを支えるのは隣接する部位の筋力になります。

頭を支えるのは首と肩、肩を支えるのは胸部、胸部を支えるのはハンドルに伸びる腕と腹部、腹部を支えるのは腰の筋力となります。

単純に言ってしまえば、上下左右前後のお隣さん同士が支え合っていると思えば間違いではありません。

ばずは”自分の重さは自分自身で支える”必要があるのです。
これはサドルに座らない、エアフォームで容易に確認できると思います。

いえ、エアフォームならば自分で支えるのに、バイクの乗った瞬間から、”支えを放棄してしまう間違った理解”をしている場合があまりにも多いのです。
サドル、あるいはハンドルに頼ることで、誤ったフォーム、誤った骨盤角度などが発生してしまうのです。




こちらはサドルに頼ることで発生する悪い例です。

各部の重さを自分で支えないでサドルに預けるように、しっかりと”座る”べく、姿勢を丸めて重さをサドルの上にもってこようといしています。


垂直姿勢では重さをサドルに預け切れますが、それでは、ハンドルに手は当然届きません。
そこで、腹部の張りをキャンセルさせ支えを失わせることで、腹部から各部を前に曲げていきます。隣同士の全ての支えをキャンセルさせて曲げていくことで、なんとかハンドルに届かせていきます。

これを間違った理解で自発的に行ってしまうのが、”骨盤を立てる”ことを意識して骨盤が後傾させ過ぎてしまった場合なのです。

支えをキャンセルした部位は、瞬間的には楽に感じますが、その負担はどこかが立て替えて、過度の負担を支払っています。

それは代わりに償う動きということで、代償動作といいます。

バイク(あるいは地面)には、力をかけると同じ力で押し返されるという、作用反作用が働きます。部位の重さをかけると同じだけの力でバイクから押し返されているのです。

つまり、体の重さをサドルに掛けることで同じだけの力でサドルから体は抑え返されています。

上から支えを失った重さがかかり、そして下からも同じ力で押されますので、上下に力のサンドイッチのように挟まれてしまった部位が潰されます。
それは骨格というフレームのない腹部であり、呼吸が浅くなますし、その後部の腰痛というトラブルを引き起こします。

さらに、腹部の支えを失うと、骨盤の安定も失います。

骨盤が安定しないと、股関節の可動域は狭まり、骨盤ごと動くという代償動作が起こります。
この代償動作では、さらに腰をリンクとして働いてしまいますので、ペダリングすればその力は腰を動かす力となってしまい、またペダルからの反作用により大きな力を掛ければ掛けるほど、腰に掛る力=負担が増してしまうますから、ロングライドやレースでは腰痛はより深刻になります。

いえ、ちゃんと乗っているのに腰痛になると言う場合は、ロングライドでは長時間での安定が、レースでは脚の筋力に対して比例した骨盤の安定が足りていないのです。


サドルに重さを掛ければ掛けるほど、その接触面であるお尻にも力=圧力が増えますので、お尻が痛くなりやすくなります。
お尻が痛いのはサドルの問題の場合もありますが、自分自身の乗り方の問題である場合も少なくないのです。どんなサドルを使っても痛い場合は、後者を疑ってみましょう。

また、ハンドルへの荷重は減りますが、同時に前輪荷重が減って、前輪が不安定になり、ふらついきやすくなります。それを抑えるためにハンドルを腕の力でガッチリ握りしめて固定するという状態にもなります。

自分を支えないこと、自らが自らに問題を起こしているのです。




次に意識的に過度に”骨盤を倒す”とどうなるかを再現してみました。

骨盤を倒すと背中が反ってしまいます。前面腹部の働きをキャンセルさせて伸ばしているので、これも背筋群の過度の負担を意味します。
また、各部位の重さは前に移動しますので、ハンドル荷重が増えて、手の圧力が高まり、腕、肩に負担がかかるようにもなります。

自分の場合は背筋が強いので、支えられてしまうので不自然に見えないかもしれませんが、肩と腕腕の緊張と、骨盤の不安定をやはり誘発します。
もし同様に背筋が強ければアンバランスなフォームでも維持できてしまうので、骨盤後傾よりも負担は少ないかもしれません。


しかし、骨盤から下、股関節と大腿の動きの位置が変り、ペダリングへの影響がとても大きくなってしまうのです。

骨盤を倒し過ぎると、股関節の可動範囲、大腿の動く範囲が”下”かつ”後”にズレていってしまうのです。

上死点通過、クランクの中心軸、ペダル力点に対して、低く、後方にずれてしまうということになり、上死点の通過がスムーズに出来ない、下死点まで踏む込事になので、下向きの無駄な力が掛かりやすくなり、ケイデンスを上げられない、リズムが遅れてしまう状態になります。

また股関節の屈曲が深くなり、臀筋とハムストリングの動員が増しますが、その分骨盤も余計に引っ張られることになりますので、その強さと等しく骨盤を安定させる必要も出てきます。

しかし、腹筋をキャンセルした骨盤前傾過度の場合は、安定性を確保することができません。

骨盤を背筋で引っ張り、臀筋とハムで引っ張られて、上から下から緊張を強いられてやはり腰痛を引き起こしやすくなります。

また、座骨がサドルから浮きやすくもなり、サドル前部の圧迫が強くなり痛みを覚えて、サドルを過度な前下りにしたりの対処方をする場合も骨盤を過度に倒しすぎているからです。

そして背中のアーチ形状、曲がりのアールは、立位とは違い上からの各部位の重さを脊椎、とくに腰部のS字カーブで支える必要がなくなります。
スクワットのように多大な重さを肩から担いで、上から下に重さに潰されないようにSを保つ運動ではないのですから、S字キープを意識する必要は全くありません。
骨盤を安定させつつ、個々人の腰部、背部の可動域に応じた自然なアールであれば、ひとそれぞれ見た目は変わって良いのです。

各部位の重さが下に向かいますので、幹のしっかりした木を傾けたら自重でしなる程度のアールをイメージするとよいでしょう。




それでは適切な骨盤角度はどうすればいいのか?

話は最初に戻って、立位の姿勢を適切に保つことから始めて、次にエアフォームをとってバイクに依存しないで自分の前傾姿勢、フォームを確かめましょう。

そして体の各部位の位置関係を体で覚えます。

それを崩さない範囲であれば、骨盤の角度はある程度範囲を持って調整して構いませんし、むしろ一定ではなく、回転を上げる、トルクを掛ける、荷重を前に移す、後ろに移すなどの状況に応じて骨盤角度も変わって然るべきなのです。

そして、バイクで力を掛ける場所はサドルでもハンドルでもなく、ペダル、進むべき力をペダルにかけます。

ペダリングの詳しい話は著書である バイシクルトレーニングブックバイシクルライディングブック DVD BOOK、または iPhone・iPadアプリ「竹谷賢二のバイシクルトレーニング」をご参照してもらうとしまして、上死点から素早く力を掛けていきますので、上死点を僅かに過ぎた位置が目見当になります。
真下ではBBにかかりますので、実際はそのペダル位置から僅か前方3時の位置までは押し出すことになりますが、基準位置として1時からダウンチューブに掛かる位置とすれば大体OKです。

そこに荷重を感じ、リアブレーキをかけて立ち上がり、荷重を逃さぬように、臀筋とハムストリングの伸びを確認しながら、そっとサドルに腰掛けます。
レストランの椅子のように体重を預けて座るのではなく、自分で姿勢を保ったまま腰を静かに落ろしていき、イメージとしてはバーのカウンターにあるスツールにかっこ良く腰掛けるようにして、サドルに接します。
そうすればサドル、ハンドルに荷重が過度に掛ることはなく、ペダルに推進力となる荷重は掛かったままです。
これを左右両脚で確認してみましょう。

サドルは座るものではなく腰を安定させてくれる補助、ハンドルは上半身を安定させてくれる補助の役割を果たしてくれますが、自分で自分を支えることは忘れないで下さい。