2012年11月27日火曜日

能力バランスと機材のバランス


さた、今回、とても良い質問を頂いたので、そのやり取りを公開します。


「こんにちは。いつも楽しく、興味深くブログやフェイスブックを拝見しております。

さて、今回は私の次期MTB機材についてアドバイスいただきたくメールさせて頂きました。

私は、3年ほど前から王滝メインでMTBライドにいそしむようになり、
今年はようやく5月の100㎞で7時間切り(6時間13分)を達成し、
9月に念願の120km完走(8時間3分)を果たす事ができました。

一応40歳までに(現在38歳)120km完走を目標にがんばってきたので、
目標が達成できてそれなりに満足していたのですが、
王滝の疲れがとれるとまたふつふつと次の目標が湧き上がってきて、
今はそれに向けてどう計画を立てるかで頭がいっぱいの状態です。(笑)
(ちなみに次の目標は、40歳までに100kmもしくは120kmで、年代別表彰台か総合10位以内です。)

そんな中、先日たまたまスペシャライズドの2013年モデル試乗会にお邪魔し、
Sワークスのエピック29erに試乗して目から鱗が落ちてしまいました。

それまでは、29erは身長170cm以上の恵まれた体格の方の専用品と
勝手に思っていたのですが、165cmの私が違和感なくのれ、
また全く別の乗り物と思えるほどの安定感と推進力にすっかり魅了され、
特に単調なダブルトラックが続く王滝のコースでは29er有利と言われる所以を
体感できた瞬間でもありました。

次の機材はこれしかないと確信し、試乗会で頂いたカタログを目を皿のようにして
機種絞った結果、
エピック・カーボン・エボR29(サイズS)と
フェイト・エクスパート・カーボン29(サイズM)の
2機種にたどりつきました。(ちなみに現在は、09モデルのサファイヤFSRカーボンです。)






FATE EXPERT CARBON 29



この2機種に絞った理由は、あまり筋力に自信のないので、
フルサスで身体へのダメージを減らすか、女性用リジットフレームで
上手く諸々の衝撃を軽減できるのではないかと考えたからです。

(エピックエボのフロントシングルギアで踏み続けられるかはいささか不安ですが・・・)

経済的に余裕があれば迷う事なくSワークスのエピックなのですが、
いっぱしのサラリーマンライダーには
高嶺の花なので、せめてセカンド(もしくはサード)グレードあたりでと考えております。

次期目標を達成する為には、100㎞で5時間半、
120㎞で7時間15分あたりが目安と考えており、
機材以外にも今まであえて敬遠してきた心拍や出力管理も導入していくつもりですが、
機材選びで上記2機種が選択肢としてある場合、どちらがお薦めでしょうか?

もしくは竹谷様が今年の9月王滝に投入されたスタンプジャンパーHTで
ファットタイヤがいいのでしょうか?
(ちなみに29erは、試乗以外は全くのった事がありません。
また、私の競技歴は王滝以外はかなり昔ですが、
2000年ごろまでトライアスロンで、ショートで2時間フラット、
ロングはハワイアイアンマンを完走しています。)
以上、不躾で大変申し訳ありませんが、アドバイスをお願いいたします。」

とても良い感じで走られての今年は目標を達成とのこと、おめでとうございます!

そして次へ、より良く、より速く、モチベーションを保つこと、とても素晴らしいと思います。

なにより、トライスロンショート2時間のうえ、IRONMANハワイもフィニッシュされているとのことで、
身体能力も素晴らしいですね。


さて、こちらに対するお答えは次のようになります。

「次期目標を年代別表彰台か総合10位以内を達成する為には、
100㎞で5時間半、120㎞で7時間15あたりを目指すとのこと。

5月の100㎞で7時間切り(6時間13分)を達成し、
9月に念願の120km完走(8時間3分)、
という成績から考えると、120kmであれば少しのスピード持続性の向上、
100kmで考えると、かなりスピードアップの必要性が高いと考えられます

持久力はハワイアイアンマンを完走されていますし、現状十分かもしれませんから、
いかに巡航速度を上げて、スピードアップするか、にかかっています。

王滝ダブルトラックでのスピードアップには、自分のレベルでもパンクを防ぎ疲労を減らして、
結果的に上りの余裕度を上げるという観点から、エピックがおすすめです。

疲労負担は、フェイト・エキスパートも良い選択ポイントをついていますし、
ハードテールでもファットタイヤにすることでかなり振動吸収効果と
一定のトラクションを常に得るという効果を高めることが出来ます。

しかし、速いスピード域の持続ということになればなるほど、
エピックの効果が際立ってきます。

どちらも良いチョイスです。

狙いに応じてチョイスをも変えてもイイかもしれません。
もし、5月の100kmでの成績重視であれば、フェイト+ファットタイヤ、
9月の120kmでの成績重視であれば、エピックEVOがベストでしょう。

5月周回は上りがきつく、下りはダラダラと漕いでいく感じで、パンクリスクも少ない。
9月周回は上りダラダラ、好成績を期するならば34Tで維持することがマストですので
シングルで十分、下りは荒れた急斜面を含んだり、42kmクラスを下りで抜く必要があり、
ラインを外すことで、パンクリスクも高まること、という特性の違いから
バイクもベストは変わってきます。

ちなみに同等の体力とより高いスキルをもっていると思われる自分がもし一台選ぶならば、
エピックEVOにすることでしょう。

ですから、現状サファイアで好成績を収められてもいることから、エピックがおすすめになります!」

という感じです。

相談される方が、スキルは高いけど、体力、持続力が足りなり、のであれば、HTがいいよ、
とおすすめしていたことでしょう。

同じ目標でも、その人がどんな能力バランスをもっているかによって、
必要とされる機材のバランスも変わってきます。

高性能な機材が一番、ではなくて、自分自身のプラスを高め、マイナスを補う、
という視点で機材を選んであげるのがいいでしょう。



同じ目標でも、その人がどんな能力バランスをもっているかによって、
必要とされる”トレーニング”のバランスも変わってきます、同じ事ですね。




ご参考になれば幸いです~