2012年2月17日金曜日

専門家へのBG FIT

昨日のコンセプトストアでのBG FITは、とある有名なトレーニングセンターのコーチの方でした。

当然のごとく運動生理学や解剖学、バイオメカニクスなど熱心に研究されている上、さまざまな選手の指導もされているので、知識と経験がものすごく豊富です。

今回BG FITを通して、ご自身のライディングの中で感じる不具合を解消しつつ、フィッティングの研究にもということでした。


BG FITといえばフィジカルアセスメントという、様々な身体特性の確認と評価のプロセスを経ることで、その方の身体の特性にあった、フィッティングソリューションを提供することが出来ます。

誰でも彼でも、あるひとつの形、たとえば、前傾フォームの角度とか、腕の角度、あるいは膝の軌跡を定義した形に近づけるような、その方の身体特性を無視したフィッティングでは、一刻は良くても、疲労箇所がシフトするだけで分散されなかったり、かえってアンバランスを助長する可能性があります。

痛みや疲労の集中などは症状であり、また、角度や軌跡は結果であり、その原因は人それぞれであり、その原因を見つけ出し、それにに応じた解決法を提供しなければなりません。
対症療法ではなく、あくまでも、原因にいかにアプローチするかが大事なのです。

この点でこのコーチとも話が一致していまして、以下のようなソリューションの提案にも、理論的にもとても納得し、そして実際の身体の動きとしても、良い感触を得てもらえました。




そのなかで幾つかの項目をピックアップします。

まずは、前足部の傾き。このアングルでアセスメントを行いますが、前足部が内側に高く上がるように傾いていることが分かるかと思います。これが内反と呼ばれる状態であり、程度の差はありますが100人中90人以上、つまりほぼすべての方がこの内反になります。

この傾きがペダリングの上死点から踏み下ろし始める局面で、すねの骨や大腿の内側への倒れこみを誘発する動きのきっかけとなります。

その動きを無くすために、内反シムをシューズの中にいれることで倒れこみが減り、結果的に膝の軌跡が真っ直ぐに近くなります。

倒れこみを減らし動きのロスや負担を減らすことが解決法であり、膝の真っ直ぐを既定してシムを使っていくわけではありません。



こちらは足の自然な向きを見ています。膝から下、脛骨と足がどのようなアングルなのかを確認しています。
この方だと、いずれも真っ直ぐ正面を向くような中立的なアライメントをしています。
ペダリング中もこの自然な向きが保たれているかが一つの見所になります。

このように自然な向きにならない原因は何かを突き止め、それに対する解決法も施していきます。



また、今回のケースでは、脚長差が大きくあることがご自身でも、フィジカルアセスメントでも確認できましたので、その解決法も施しました。

身体に合わせて、物理的に可能な範囲でその差を穏やかに減少させ、腰をバイクに対して真っ直ぐ相対するようにしていきます。

上の画像は、フィッティング中に自分が腰の位置を確認をしているアングルになります。
ご自身でも客観的バイオフィードバックとして希望されたので、iPhoneで撮ってみました。



連続写真に落としこむとその動きの範囲も分かります。
フィッティング後ですが、腰は中立の位置に保たれていますが、ペダリングの動きの中で、やや右に流れては中立に戻る、を繰り返しています。

当初は、腰が完全に右に落ち、傾き、前に回旋してしまっていましたので、かなり改善したことになります。
その動きからは、腰の疲労や左大腿部の股ずれ、筋アンバランスが症状として表れていましたので、動きが改善することで、これらも解消に向かうでしょう。

また、このバイオフィードバックを受けて、動きの修正もご自身でも配慮、コントロールされていましたので、加速度的に良くなることが予想されます。


バイクは機会、人間は生身、その相反するものが構造体として合致させなければならないのですが、人間を機械的に型に当てはめてはいけないのです。

人は人、それぞれの方が違いますので、それぞれに適切なフィッティングの結果、その形もまた人それぞれになってしかるべきです。

ということで、いま現在の身体に合わせて提供できる解決法を全て施してBG FITは無事終了しました。

しばらくの後、アフターフォローフィットでの、意見交換が楽しみです~