最近はバイクを中心としながらも、トライスロンに取り組んでいるおかげで、スイム、ランという種目がクロストレーニング的な効果を及ぼして、バイクそのものの向上にとても貢献してくれています。
水中での感覚、とりわけ”空間認識”ともえいえるような感覚、ランでは着地と推進から、体そのものを進ます”重心移動”の感覚といったものまで、バイクだけをやっていた時からかなり向上しています。
そして、体そのものを物理的な変化を及ぼしています。
各部位の筋肉の付き方、関節強化などもその好影響ですが、とりわけ大きものは”姿勢”の変化です。
バイクだけでは、サドルやハンドルに物理的に頼れ得ることで、ある程度アンバランスな状態でも成立してしまいます。
支えがあるので、その形に慣れてしまえば、持続できるようになってしますのです。
しかし、大事なことは姿勢を自分で保つこと、それは機能的に体の動きを良くして、バイク、ペダルに掛る力の作用を最適化するために必要なことなのです。
バイクのフォーム、姿勢に関して、よく話題に上がるのは”骨盤の角度”です。
骨盤は起こすのか(立てるのか)、寝かすのか(倒すのか)、よく議論になっています。
しかし、それはどちらが良い悪いではなく、極論で一つを選ぶことではなくて、個々人それぞれにあった”機能的な角度”であればどちらでも良い、いえ、ある一つの角度があるのではなく、適切な範囲があるという理解をすべきです。
起こしすぎている場合は寝かせば適切な範囲になり、機能的な改善を図れるでしょうし、
寝かしすぎている場合は起こせば適切な範囲となり、これもまた機能的な改善を図れるのです。
骨盤角度は起こし過ぎも寝かし過ぎも良くなく、その人の可動域にあった、そして保持するための筋力バランスに合った角度が重要なのです。
見た目のフォームだったり、骨盤角度がありきではなくて、その人の動きやすさ=可動域ありきです。
簡単に言うと骨盤を倒すと、股関節の可動範囲は下向きかつ後ろ向きになり、脚の重さと筋力は下向きに働きやすくなります。
骨盤を起こすと、股関節の可動範囲は上向きかつ前向きになり、脚の重さを上げやすく、前に振り出しやすくなります。
バイクもランも、その関係を力を伝える、ペダルの入力点、地面の着地点にしっかりと合わせて行くことが、非常に大切なポイントになるのです。
また、機能的な可動域とは、
動く部分(収縮進展)の柔軟性+その基部の安定性=可動域
との足し算によって決まると考えています。
脚を動かすには腰が安定してこそ、肩甲骨を動かすには背骨が安定してこそ、動くところはしなやかに、その基部はしっかり安定し、機能的な可動を実現します。
その範囲=可動域は、柔軟性と安定の2つの要素によって決まってきます。
まずは、その人、そのものの姿勢を見てみましょう。
こちらは姿勢変化を立位で再現したものです。
支えの足りない骨盤後傾、背中の緊張の強すぎる骨盤前傾、そして中立的な姿勢と変化させています。
骨盤を腹筋群と背筋群とバランスよく支えられると、体の局所的な負担が減ります。
この骨盤を安定させて体の局所的な負担を減らす姿勢が、機能的な姿勢、適切な姿勢ということになります。
股関節の可動域は、この骨盤の安定が脚、股関節の可動域に大きく影響してきます。
次にバイクフォームを擬似的にとった”エアフォーム”で同じ姿勢変化を再現してみます。
お腹の支えをキャンセルさせ、骨盤を後傾させた姿勢、いわゆる骨盤を起こすような姿勢、と、
背中を伸ばして背筋に過度の緊張をさせ、お腹を伸ばし必要なテンションをキャンセルさせた、骨盤を前傾させた姿勢、いわゆる骨盤を寝かした姿勢をつくっています。
その中間である、中立的な姿勢、それがきちんと安定した姿勢を作り、そしてまた、足元にキャプションでしめした擬似ペダリングサークルと一致することがわかるかと思います。
骨盤を寝かしすぎると、脚が下に、後ろに下がり、ペダリングサークルとの相対的な位置がずれていってしまい、適切なペダルの力点への伝達、そして円滑なペダリングを阻害し、不適切な方向に力を無駄にかけ続けやすくなってしまうというリスクが発生するのです。
実際にバイクでの考察は、次回にまとめますので、少々お待ちください。